渡辺源四郎商店第2回公演
「背中から四十分」
2006年9月26日〜10月4日/7日〜10日/14日〜15日




どん底に落ち込んでしまった二人ができることというのは、そんなに多くない。極めて少ない。だからどん底なのです。できるのは、お互いに肌を触れあって、お互いの冷たさや温かさを感じること。
高橋敏夫 演劇時評『悲劇喜劇』2004年9月号より




「心中劇」へのリスペクトとアンチテーゼ
 『背中から四十分』は、平成の時代に生まれた新しい「心中劇」です。劇中のオイルマッサージは、道行であり、心中の前段階のある種の情交といえるでしょう。しかし、歌舞伎で描かれる道行や心中ものと大きく違うのは、決して死という帰着を美化するのではなく、最悪の状況にある二人の人間が互いを癒すことで、ほんの少しだけ救われる「癒しの円環」に主眼が置かれていることです。限りなく死に近づきながら踏み止まる二人の姿、同時に、二人を待つ決して明るくはないであろう未来に、私たちは同時代の心中のリアリティを見るでしょう。


東京公演
こまばアゴラ劇場こまばアゴラ劇場
東京都目黒区駒場1-11-13
TEL 03-3467-2743


■2006年9月26日(火)〜10月4日(水)
9月 26日(火) 27日(水) 28日(木) 29日(金) 30日(土)
15:00 A
19:30 Y Y Y ★ A A ★

10月 1日(日) 2日(月) 3日(火) 4日(水)
15:00 A Y
19:30 Y Y
*受付開始は開演の60分前。 *開場は開演の30分前。
*上演時間は約80分を予定しています。
*Wキャスト A=高坂明生/Y=佐藤良洋


の回はポスト・パフォーマンス・トーク開催
9月28日19:30の回終演後
 山内健司(俳優)×森内美由紀(俳優)×畑澤聖悟
 司会:工藤千夏(渡辺源四郎商店ドラマターグ)

9月30日(土)19:30の回終演後
 坂手洋二(燐光群主宰・劇作家・演出家)×畑澤聖悟
 司会:工藤千夏(渡辺源四郎商店ドラマターグ)


▼料金
 全席自由・日時指定・税込
 前売券 一般 3,000円/学生 2,000円/高校生以下 1,000円
 当日券 一般 3,300円/学生 2,300円/高校生以下 1,300円
 ※本公演は、芸術地域通貨ARTS(アーツ)がご利用いただけます。
 (1円=1アーツ。アーツとは、桜美林大学演劇施設内で施行されている地域通貨です。)
▼チケット取扱い 
 こまばアゴラ劇場 03-3467-2743
 渡辺源四郎商店 080-1269-6158


▼チケット発売日 2006年8月1日(火)




企画制作:渡辺源四郎商店/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
主催:(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場


平成18年度文化庁芸術拠点形成事業


青森公演
アトリエ1007 アトリエ1007ブログ  >地図  >"mapion.co.jp"で確認
青森市本町3-4-5スズケンビル1F
TEL 080-1269-6158


■2006年10月7日(土)〜10日(火)
10月 7日(土) 8日(日) 9日(月・祝) 10日(火)
15:00
19:30
*受付開始、開場はともに開演の30分前。
*上演時間は約80分を予定しています。
*Wキャスト 青森公演は全ステージ高坂明生が出演します。


の回はポスト・パフォーマンス・トーク開催
10月9日15:00の回終演後
 山内健司(俳優)×森内美由紀(俳優)×畑澤聖悟
 司会:工藤千夏(渡辺源四郎商店ドラマターグ)


▼料金
 全席自由・日時指定・税込
 前売券 一般 2,500円/学生(高校生以下も含む)1,000円
 当日券 一般 2,800円/学生(高校生以下も含む)1,300円
▼チケット取扱い 
 青森演劇鑑賞協会 017-722-7944
 渡辺源四郎商店事務局 080-1269-6158


▼チケット発売日 2006年8月1日(火)




企画制作:渡辺源四郎商店
主催:劇場拠点創造プロジェクト実行委員会/ARTizan/渡辺源四郎商店
助成:財団法人セゾン文化財団


北九州公演
北九州芸術劇場 小劇場(第14回北九州演劇祭参加)
北九州芸術劇場第14回北九州演劇祭
北九州市小倉北区室町1丁目1-1-11
TEL 093-562-2655


■2006年10月14日(土)〜15日(日)
10月 14日(土) 15日(日)
15:00
19:30
*受付開始は開演の60分前。 *開場は開演の30分前。
*上演時間は約80分を予定しています。
*Wキャスト 北九州公演は全ステージ佐藤良洋が出演します。


の回はポスト・パフォーマンス・トーク開催
10月14日19:30の回終演後
 泊篤志(飛ぶ劇場代表・北九州芸術劇場学芸係ディレクター)×畑澤聖悟


▼料金
 全席自由・日時指定・税込
 前売券 一般2,500円/学生(高校生以下も含む)1,500円
 当日券 一般3,000円/学生(高校生以下も含む)2,000円
▼チケット取扱い 
 北九州芸術劇場プレイガイド(リバーウォーク北九州5階) 店頭販売のみ
 渡辺源四郎商店事務局 080-1269-6158


▼チケット発売日 2006年8月20日(日)




企画制作:渡辺源四郎商店
主催:劇場拠点創造プロジェクト実行委員会/ARTizan/渡辺源四郎商店
助成:財団法人セゾン文化財団


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『背中から四十分』出演、山内健司に聞く。
2006.5.5 富士見市民文化会館キラリ☆ふじみにて『上野動物園再々々襲撃』の稽古の合間に。(文責:工藤千夏)


●渡辺源四郎商店店主・畑澤聖悟との出会いは?

 もう、13、4年前になりますかね?弘前劇場の芝居に、なまはげみたいな人が出てて。畑澤聖悟さんでした。ほんと、怪優。95年の青年団プロデュース『この生は受け入れがたし』(作・演出:平田オリザ)で共演することになるんですけど、やっぱりなまはげで、身体もでかくて、演技もでかくて、派手で、面白くて。その後、二本ほどご一緒してますけど、その印象は変わらないですね。
 畑澤聖悟っていう人は、脳味噌も、人よりでかいんじゃないかな?ま、普通の人間は脳味噌の一割くらいしか使ってないっていいますけど、畑澤さんの場合は、三、四割使ってると思う。


●畑澤聖悟作品については?

 こまばアゴラ劇場で『召命』(2000年)観たときには、「ついに北の雄が動いた」ってまわりじゅうに宣伝して歩きました。ほぼ全作品観てるんですけど、偶然、『背中から四十分』だけ観てないんですよ。自分なりに、まっすぐ取り組みます。
 畑澤作品は、暗いですよね。はい、ぜーんぶ。明るい語り口で、でも、暗い。そこが魅力だと思ってます。落語とかきっとすごく勉強してるんだと思うんですけど、あのでっかい脳味噌使って。


●『背中から四十分』に出演するにあたって?

 抱負ですか?そうですね、畑澤さんはもちろん、共演の森内美由紀さんたちといっしょに、この作品を育てて、育てて、長いタームでずっと演じていきたいです。あと、畑澤さんも言ってることですけど、心中っていう概念をベースにした死へのアプローチ、生への回帰が海外でも通用するかどうか、試してみたいですね。
 あ、そうそう。最初、二人芝居って思い込んでたんですよ(笑)。たしかに、森内さんと僕しか出ていない時間は長いんですけど。他の共演者とのシーンも面白いんで。はいっ!四人芝居です!


●『背中から四十分』のモチーフであるマッサージについては?

 僕、マッサージ屋って行ったことないんですよ。なんか、恥ずかしいっていうか、申し訳ないっていうか。そんな、揉んで頂くなんて。いや、肩こりはありますけど。僕自身はマッサージうまいですよ。どうしてもマッサージして欲しいときには、マッサージ大会やりましょうなんて俳優同士で言って、十分ぐらい揉んであげてから、してもらう、かな。やっぱり、人の肌が触れあうのってすごいことだから。そんなに、ないでしょ、日常の中で。やっぱり、ただ身体を揉みほぐすっていうだけじゃなくて、ゆだねたり、ゆだねられたりってことなのかなぁ、マッサージって。






出演者プロフィール

●森内美由紀
1991年より弘前劇場に参加。以後、退団する2005年まで14年間に渡り多くの作品に出演する。うさぎ庵Vol.2『卯の卵』(作・演出:工藤千夏)出演からフリーとして活動を開始。渡辺源四郎商店開店準備公演『俺の屍を越えていけ』、開店公演『夜の行進』、そして今回の『背中から四十分』と、畑澤聖悟作品には欠かせない存在である。06年12月に吉祥寺シアターで上演される『ソウル市民 昭和望郷編』(作・演出:平田オリザ)より、青年団への参加が決定している。


●山内健司
1984年より青年団に参加。『ソウル市民』『暗愚小伝』などほぼ全ての平田オリザ作品に出演。05年はポかリン記憶舎『短い声で』(作・演出:明神慈)Ort-d.d『エレクトラ』(演出:倉迫康史)日韓交流プロジェクト『ソウルノート』にも出演。
06年12月に吉祥寺シアターでソウル三部作を一挙上演する中の『ソウル市民』『ソウル市民1919』(作・演出:平田オリザ)、07年1月〜6月に日仏共同企画『別れの唄』(作:平田オリザ・演出:ロラン・グットマン)に出演予定。桜美林大学総合文化学群非常勤講師。


●工藤由佳子
2003年より弘前劇場に参加、『賢治幻想 電信柱の唄』(作:別役実)などで注目を浴びる。2005年退団。渡辺源四郎商店開店準備公演『俺の屍を越えていけ』、開店公演『夜の行進』に出演。『背中から四十分』の若女将・稲葉緑は初演以来持ち役である。


●高坂明生
畑澤聖悟が顧問を務める青森県立青森中央高校演劇部OB。演劇部時代に主演した代表作『生徒総会』は東北大会を勝ち抜き、卒業後の翌99年8月、平成11年度全国高校演劇発表大会優秀賞・文化庁長官賞に輝いた。2000年以降、畑澤作品『召命』『定礎』『今日もいい天気』を経て、渡辺源四郎商店開店準備公演『俺の屍を越えていけ』に出演。「アム」というコミックバンドを組んでおり、ミュージッシャンとしてライブ活動も活発に行っている。


●佐藤良洋
2003年より東京倶楽部に参加し、『春ナ忘レソ』・『冬の風車』(演出:菅田俊)等に出演。また、弘前劇場公演『F+2』(作・演出:長谷川孝治)、新宿パープルパンダ公演『今夜ここで会えたら』(作・演出:柏村栄行)にも客演。06年11月には東京倶楽部公演『サイコ(仮題)』に出演予定。